レィニィがぁる さにぃボォイ。
あたしは特に何が好きってわけじゃなくて
特に何が嫌いってわけじゃなかった
「ねぇ…君なにやってるの?」
勉強なんかしなくても成績はいつも人並み以上で
練習なんかしなくてもあたしにできないスポーツなんてなかった
完璧すぎてつまんないってこともなかったし
できなすぎて吐き気がするってこともなかった
楽しすぎてバカになりそうってこともない
けど毎日はなかなか楽しく過ぎていったし特に不満もなかった。
「別に。」
今は6月で雨が毎日降り続いてそのせいか室内はじめじめしてて
あたしはそれが嫌で傘を持たないで出かける事が多くなった。
傘を持ってたら雨が降ってるのを認めてる気がしたから。
晴れの日よりも雨の日の空気の方が澄んでると感じるのは
多分、あたしだけじゃないと思う。
ミントキャンディに似たオシャマで気高い空気。
「…そっか」
やっぱりその日は雨が降っていて
あたしは相変わらず傘なんてさしてなくて
塾に行かないと行けないのに
何を血迷ったのかあたしは
神社の階段に座って虚ろな空を眺めてたら聞かれた。
まじめそうな顔をしてやっぱまじめな高校の制服に見を包んでて
あたしと同じぐらいの年の男にまじめな声で聞かれた。
「傘持ってないの?」
「持ってるけど家にある。」
「じゃぁ持ってくればよかったのに。ここ最近雨は降り続いてるから・・。」
「さしたくなかったから。」
そいつはあたしのことを見ていた。
あたしは空を見ていた。
空は地球を見下ろしていた。
「濡れるよ…」
そいつは自分がさしてた傘をあたしの方に向ける。
雨があたしの上だけ止んだ。
あたしはそいつのことを見ていた。
そいつは空を見ていた。
地球は空を見上げていた。
「これじゃあたしがわざわざ傘を持ってこなかった意味無い。認めてるみたい。」
あたしは立ち上がる。
「…・何を?」
こいつは傘を差し出した
「雨が降ってるのを。」
そいつはあたしのことを見ていた。
あたしはそいつのことを見ていた。
空は地球のことを地球は空のことを見ていた。
「「あ……」」
雨が止んだ。七つの色が空を走る。
レィニィがぁる さにぃボォイ
これが出会い これが始まり。